距離空間はT_4

ずっとRがT_4かどうか気になっていたんですが、調べてみたらびっくりするほどたやすく解決されてたのでメモしておきます。ってかなんでこれ知らなかったんだ。

まずはT_4の定義から。

定義 位相空間XT_4分離公理をみたすとは、任意の互いに交わらない閉集合を開集合で分離できることをいう。
すなわち、任意の閉集合 A,B \subset X,A \cap B = \emptyに対して、ある開集合U,V \subset Xが存在して、 A \subset U, B \subset V,U \cap V = \emptyをみたすことをいう。

以下、(X,d)距離空間とします。次のような関数の存在がもっとも重要です。

補題 Xの部分集合S \subset Xに対し、X上の関数f_Sを、f_S(x):=\inf\{d(x,y):y \in S\}によって定める。
(1) f_Sは連続である。
(2) CX閉集合とするとき、f_C(x)=0であることと、x \in Cであることは同値である。

つまり、「Xの部分集合との距離」で与えられる関数が連続関数になるわけです。

補題の証明
(1) x_1,x_2 \in Xを任意にとる。y \in Sについて、[tex;f_S]の定義と三角不等式より、
f_S(x_1) \leq :d(x_1,y) \leq d(x_1,x_2) + d(x_2,y)
である。右辺の下限をとって、
f_S(x_1) \leq d(x_1,x_2) + f_S(x_2)
である。x_1x_2を逆にして同じことを行うと、
|f_S(x_1)-f_S(x_2)| \leq d(x_1,x_2)
をえる。したがって、f_Sは連続である。
(2)(\Leftarrow)は明らか。 (\Rightarrow)は開集合の定義からしたがう。


で、この関数を使って次を示します。

定理 距離空間(X,d)T_4である。

証明 はじめに書いたT_4の定義どおりにA,B \subset Xをとる。まえの補題の記号をつかって、
f:=\frac{f_A}{f_A+f_B}
によりX上の関数fを定める。このとき、fは連続であり、
 f|_A = 0
 f|_B = 1
をみたす。そこで、
[tex: U := f^{-1}*1]
[tex: V := f^{-1}*2]
とおけばよい*3

\mathbb{R}T_4である。

ということで、こういう関数が得られるんだからうまく使えば分離できるということですね。ちなみに前にここで話をした集合と位相の本にもこの話は載っています(命題6.1.10)。微妙に作り方が違っていますが、やっていることは上と同じだと思います。

*1:-\infty,1/2

*2:1/2,\infty

*3:0 \leq f \leq 1なので、U:=f^{-1}([0,1/2)でも同じです