フランクのバイオリンソナタの四楽章

というわけで解説を書いてみよう。
解説に使うかどうかは別として、とりあえず曲の構成を書きます。
数字は何小節目かをあらわします。


第一部(1-98)

主題の提示(イ長調) 1-36
経過句(三楽章の旋律) 37-51
主題(嬰ハ長調) 52-64
経過句 65-79
主題(ホ長調) 79-86
コデッタ(ホ長調) 87-98

第二部(99-184)

経過句(二楽章の旋律) 99-116
主題の展開 117-132
主題の展開(三楽章の旋律も) 133-168
経過句(三楽章の旋律と主題) 169-184

第三部(185-242)

主題の再現 185-220
コーダ(イ長調) 221-242

第一部98小節、第二部86小節、第三部58小節ですね。


それでは解説を。
速度標語はAllegretto poco mossoで、2分の2拍子、イ長調です。


まず、ピアノとバイオリンによるカノンの形で主題が提示されます。(1-)
ピアノが始めに演奏し、それをバイオリンが追いかける感じですね。
この旋律は明朗なもので、三楽章のコーダの重い雰囲気を振り払ってくれます。
カノンとしてもすばらしい出来で、この形式が好きな私としては「よく書いてくれた」と思ってしまいます。
さて、この旋律は途中で嬰ハ長調嬰ハ短調を経由して*1主調に戻ってきます。
aba形式で、bにあたる部分(12-20)が転調している部分ですね。
21小節目で主張に戻ってくるときは、最初弱奏*2だった主題がfで奏されます。終わりの方が変化して、ffで主題が締めくくられます。


次の経過句(37-)の部分では、ピアノが三楽章に出てきた旋律を演奏し、それにバイオリンが細かい旋律をつけています。
「前の楽章で使った旋律を再利用する」というのはフランクの常套手段であるようで、実は最初の主題も一楽章の主題と関係しています。
さて、嬰ハ長調に転調して、主題がもう一度演奏されます。(52-)
今度は一回目と逆で、バイオリンが先、ピアノが後になっています。
この後もう一度経過句がはいり(65-)ます。ここでも先ほどの経過句とは各楽器の役割が逆になっています。


ホ長調になり、主題が三回目に出てきます(79-)。
このときはピアノは左手で旋律をかなで、右手が伴奏をします。バイオリンが後から追いかけていきます。
そして87小節目からコデッタに入ります。
この部分もカノンになっていますが、主題は一小節のずれだったのに対し、ここでは半小節のずれになっています。緊迫感が出て面白いと思います。
この部分のピアノは左手の跳躍が難しく、私はよく外してしまいます。
またカノンなので、旋律の一番力が入る部分*3がピアノとバイオリンでずれます。演奏していて面白い部分です。


疲れてきたので今日はここまで。そのうち続きを書きます。
これで伝わるかなぁ…やっぱり聞いてもらうのが一番手っ取りばやいな。

*1:響きはそうなっていますが、和声法的に本当に経由しているかは謎です

*2:dolce cantabileと書いてあります

*3:この言いかたでいいのでしょうか…