C^∞関数の商の話

ちょっと気が向いたのと、関連する話を見かけたので、たまにはまじめに数学の記事でも。


こういう命題があります。

fを、Rにおける0の近傍上で定義されたC^∞級関数とする。さらに、f(0)=0とする。
このとき、 f(x)/x (を適当に拡張した関数)は、0の近傍でC^∞級となる。

このf/xという関数は積分で書かれます。具体的には、

g(x):= ∫_[0,1] f'(tx)dt によりgを定めると、gはC^∞級で、x・g(x)=f(x)である。

となります。証明はすぐできるので省略します。fがC^r級とかのときも上の表示は成り立ち、f/xの微分可能性が1階分落ちるということもわかります。ちょっとしたことですが、こういう表示があるというのを知っていると困ったときに役立つ気がします。


使用例です。

ρをU⊂R^n上のなめらかな関数として、U上でdρ≠0とする。M={x:ρ(x)=0}とおく。
U上のなめらかな関数fがM上で恒等的に0になるとする。このとき、f/ρはU上でなめらかである。

(証明)x∈Mに対して、xの近傍でなめらかであることを示せばよい。
xにおいてdρ≠0だから、ρを座標の一部とする局所座標(V;y_1,y_2,...,y_n)、y_n=ρがとれる。
M上でf=0だから、さっきの命題(というかgの構成)を使うと、f/y_n(=f/ρ)という関数がxの近傍でなめらかであることがわかる。



という感じで使えてちょっと便利です。あとはこの記事にもある通り、C^∞(R)という環のイデアル{f:f(0)=0}が単項イデアル(x)であるということもわかりますね。


うーーんTeX記法がうまく使えなくて情弱感漂います。