数学の「正しさ」は、どの公理を採用するかに寄りかかっている。
例えば、「三角形の内角の和が180度である」ことは常には正しくない。「1+1」のような簡単な足し算でさえ、演算の規則によっては答えが変わることもある。


よく、数学の定理は宇宙のどこに行っても変わらないといわれる。それは当たり前だ。
でも、定理の礎となる公理は、環境によって変わるかもしれない。
たとえば、地面が平らに見えないくらい小さい星があったとする。そこの住人は、球面幾何学を先に発達させてもおかしくはない。
そこでは、「三角形の内角の和は180度より大きい」ということが常識になったりするかもしれない。


そう考えると、(ある程度初等的な)数学は、人間の事情というか、認識のしかたにも寄りかかっていると思う。人間がまったく別のやり方で世界を見ていたら、数学はまったく別のものになったかもしれない。